雨の日の正しいお見送りの言葉は?

活発な梅雨前線による影響で、熊本・大分地方では記録的な大雨になりました。
被害に遭われた方々、避難されている大勢の方々に心よりお見舞い申し上げます。
明日も引き続き広い範囲で大雨が予想されています。
これ以上被害が大きくならないことを祈るばかりです。


接遇研修のご依頼が続き、大変嬉しく有難く思っています。
特に医療機関の皆さんは、日々のお忙しい業務の合間での研修にもかかわらず、
積極的にご参加いただき、私自身も気づきや学びの多い毎日です。

そこで今日は、私自身も本当に難しいと感じる敬語について、書いてみます。


まずは問題。
雨が降る日にお客様(患者様)をお見送りするときの表現として、正しい表現はどれでしょう。
①お足下にお気をつけてください。
②お足下にご注意してください。
③お足下にご注意ください。
④足下に気をつけてください。
(答えは最後に!)


例えば雨の日、お帰りになる患者様に対して、プラスアルファの言葉を添えて、
「お足元に気を付けてお帰り下さい」

字面で読む分には、難しくないのですが、
いざ、その言葉を掛けようとする状況になった時、
パッと出てくるかといえば、案外思い浮かばないもの。
決して難しい言葉ではないのに、
余程普段から使い慣れている方でないと、スラスラとは出てこないものです。


この「気を付けて」、実は扱いが難しい言葉です。

研修などでときどき耳にするのですが
「お気をつけてください」と言う方がいらっしゃいます。

実は、文法上はこの表現は間違いです。
この場合、正しくは「お気を付けください」です。


例えば、「ご注意ください」とは言いますが「ご注意してください」とは言いません。
同じように、
「お気を付けください」は○、「お気をつけてください」は×なのです。


文法的に考えてみると、違いが分かってきます。

「ご(お)○○○ください」というのは尊敬表現の言い回しの一つです。
この場合「○○○」の部分には「名詞」が入ります。

「お気を付けください」の場合、
「気を付ける」の動詞連用形の「気を付け」が、上の「○○○」に入ります。

「お+動詞連用形」による名詞化により「お気を付け」という名詞形になったものに、
「ください」という命令形が接続したものであり、
「お(ご)○○○ください」に準じた尊敬表現となっているわけです。


もう一つ、「お気をつけて」についても考えてみます。

敬語の「お」「ご」は、基本的に動詞には付きません。

「気を付ける」は動詞ですから、もともと「お」を付けることができないのです。
「気を付けて」も、「気を付け」(動詞連用形)に
連用形に接続する助詞の「て」がついたものであり、
名詞化しているわけではないので、やはり「お」は付きません。

例えば、「取ってください」を尊敬表現に変える場合、
「お取りください」とは言いますが、「お取ってください」とは言いませんよね。


ということで、質問の答えは、③が正解です。
①②は上記の通り、④はお客様(患者様)に対して敬語表現になっていないので間違いです。


雨の日、傘をさしてわざわざ来てくれてありがとう、という感謝の気持ちを表すために
「本日はお足元の悪い中、お越しくださいまして誠にありがとうございます」
という決まり文句があるように、
お見送りの際も
「お足元に気を付けてお帰り下さい」
と無意識のうちにスラスラと言えるようになりたいですね。

敬語の表現は、理屈で覚えようとすると難しく感じますが、
大切なのは、まずは行動を起こすこと。
誰でも繰り返して口に出して練習すれば、いつのまにか身につきます。


今日もここを訪れてくれたあなたへ
感謝をこめて、
明日も新しい学びがありますように。
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by smile_garden | 2012-07-12 18:10 | 接遇マナー | Comments(0)
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