患者さんが求めているもの

柿の実がずいぶん色付いてきました。
10月もあと少し、秋の深まりを感じます。


週末、親戚から電話がかかってきました。
高齢のお母さんの薬についての相談でした。

腕がしびれるので整形外科にかかったところ、薬が処方された。
薬局で薬をもらい、帰ってから説明書きを読んでみると、
たくさん注意事項が書いてあって、怖くなってしまった。
再び整形外科に行き、医師に「飲むのが不安」と伝えたら
「だったら飲むな!」といきなり怒られた。
この薬はどんな薬?母はどうすればいいと思う?との内容でした。

医師や薬剤師は追加になった薬について説明しなかったのか?と尋ねると、
病院でも薬局でも、何も言われなかった、とのこと。
実際に飲んでみたところ、起床時にふらつき感がある、とも話してくれました。

処方薬を聞いて確かめたところ、、
追加になった薬は比較的新しい薬で副作用が多く報告されているものでした。


医師の説明不足、院外薬局の薬剤師の説明不足。
その両方が原因として考えられますが、
薬が追加になって患者さんが不安でいっぱいになってしまったケースです。

今の世の中、医師も薬剤師も患者さんへの説明には気を遣っているはずですが、
こんなケースが今でもあるのですね。

せめて医師か薬剤師のどちらかが、お薬の情報紙を渡すだけでなく
患者さんの顔を見ながら言葉で説明していれば、
患者さんが不安になって悩むこともなかったでしょう。
医療機関側の状況は色々考えられますが、いずれにしてもとても残念でなりません。


患者さんが医療機関に求めているもの。
いくつか考えられますが、一番大きいのは「安心と安全」です。


以前、偶然乗り合わせたタクシーの運転手さんとの会話の中で
ご自身が手術入院した経験を話してくれたことがあります。
中でも、印象に残っている運転手さんの言葉。

「病院は、病気を治すのは当たり前。患者は病院に『心のケア』を求めている」

ハッとしました。
「当たり前」と言われてしまうことに対してはいろいろな考え方があるでしょうが、
「患者は『心のケア』を求めている」という言葉は、
患者さんの本心を表しているように感じました。


安心と安全。
心が安らぐ医療、安全な医療。
医療機関に対して求めるものは人それぞれたくさんあるでしょうが、
安心と安全を求めない患者さんはいないはずです。


医療人はいつも時間に追われ、次の業務に急かされて、心の余裕を見失いがちです。
でも、ほんのちょっと患者さんの立場に立って患者さんの気持ちを考えてみれば、
患者さんが求めているものが見えてくると思います。

例え患者さんからの質問がなくとも、
不安な表情をしていないか、何か聞きたそうな素振りはないか、等々
声にならない「心の声」を聴く。
ノンバーバルコミュニケーションが活躍する瞬間です。


特にご高齢の患者さんは、聞きたいと思っても遠慮して聞けなかったり、
その場では気づかずに後で分からないことが出てきたりするものです。

「分からないことがあれば、いつでもご相談くださいね」とひと言添えると
患者さんは安心します。


医療の現場で、サービスやおもてなしといった言葉がよく聞かれるようになりましたが、
医療人一人ひとりの心に浸透するにはまだ時間がかかりそうです。

先ずは理屈より、人として相手を思い遣る気持ちを大切にしたいもの。
相手の立場に立ってものを考える心のゆとりが求められています。


今日もここを訪れてくれたあなたへ
感謝をこめて、
明日も新しい学びがありますように。
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by smile_garden | 2012-10-29 17:47 | Comments(0)
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