昨夜の皆既月食、各地でお天気に恵まれ、ご覧になった方も多いことでしょう。
私も、タイミングよくちょうど雲が消えて、見事な皆既月食を見ることが出来ました。 赤銅色の満月が再びいつもの満月に戻った時、 こんなに月明かりは明るいんだ!と今さらのように感動しました。 昨日、敬語について書きましたが、 今日もその続きのお話をしてみます。 研修先の医療機関で時々いただくご相談の一つに、 「敬語をつかうと、患者さんから『何を言っているのか分からない』と怒られてしまう」 というものがあります。 ほんの先日も、 「職場の先輩は患者さんにタメ口で話していますが、 目上の方に対して失礼ではないですか?」 とのご質問をいただきました。 敬語を使えるようになったらなったで、 今度は敬語をつかう状況や場面についても分からないことが出てきますね。 私が敬語について説明するとき、 いつも最後に付け加えることがあります。 それは、 「相手が心地よいと感じる言葉をつかうことが、相手への思いやり」 ということです。 敬語は相手に敬意をあらわす素晴らしいコミュニケーションツールですが、 だからといって、敬語をつかえば何でもOKという訳ではありません。 敬語をつかうことより大切なのは、 相手とのコミュニケーションが成り立つかどうか、 なのです。 敬意をあらわすことは大切ですが、 敬意をあらわすことで、相手との会話が通じなくなってしまっては全く意味がありません。 傍から聞いていると、友達言葉をつかっていて患者さんに失礼だと感じたとしても、 当の患者さんご自身が、気持ちよく快適に会話を楽しんだり、 必要な情報をストレスなく得ることが出来たり、の方が大切です。 患者さんが心地よいと思う話し方をすること。 そこには、思いやりの心があります。 例えば、地元の言葉や方言を含んだ言葉で長年生活をしてきた高齢者の方々。 いつも馴染んでいる話し言葉とは異なる、標準語での謙譲語や尊敬語を使って話されると、 「何を言っているのかさっぱり分からない」 ということになり、 「分かる言葉で話してよ!」 と怒られてしまうことがあります。 目上の人に敬語をつかってはいけないの?と困ってしまうケースですね。 では、どうすればいいのか? このようなケースであれば、私だったら、 最初と最後の挨拶は、丁寧な言葉をつかいます。 でも、「おはようございます」の後は、 地元の言葉をまじえて、患者さんがつかうのと同じような言葉遣いを真似て、 患者さんの反応に合わせて言葉を選びます。 ただし、患者さんと全く同じということではなく、 普段づかいの言葉の中にも、相手への敬意を忘れずに、丁寧に話すのがポイントです。 このとき、周囲にも気を配ることができるようになれば より安心感や快適さが増します。 敬語は相手に対する敬意をあらわす言葉であり、 目上の方や上司など、自分より立場が上の人に対してつかうことが多い言葉です。 ですが、年が上の患者さんといっても、 その背景を考えると、年齢、職業、経歴、住所、出身地、家族構成などさまざまです。 患者さんの背景を想像して、 敬語をつかった方が心地よいと感じる患者さんには丁寧な敬語を、 普段づかいの言葉の方が伝わりやすいと判断すれば、 ご近所さん同士が交わすような言葉をほんの少し丁寧に。 相手によって、状況によって、敬語をつかった方がいい場面か、敬語は無しでも大丈夫か、 それを瞬時に判断する。 それができて初めて、思いやりと温もりのある会話が出来るのだと思います。 思いやりの心は目には見えません。 しかし、話し言葉が相手にとって心地よければ、きっとその思いは相手に伝わり、 双方に笑顔があふれることでしょう。 敬語をつかえるようになったら、 敬語が必要な状況で、敬語をつかった方がコミュニケーションがはかどる状況で どんどん使って、自信をつけましょう。 目の前の相手が快適だと思う言葉を自在に選ぶことができるようになれば コミュニケーションの幅がぐんと広がります。 今日もここを訪れてくれたあなたへ 感謝を込めて、 新しい気付きがたくさんありますように。
by smile_garden
| 2014-10-09 17:44
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