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対話による医療

鍋料理が美味しい季節になりました。
コンビニのレジに並ぶと、おでんのいい匂いにつられて食べたくなります。
ん~やっぱり私には食欲の秋ってことかな(^_^;)


研修の資料を作りながら、EBMとNBMについて考えていました。

EBM(Evidence-based medicine)とは、言葉のとおり訳すと
科学的根拠に基づく医療、となります。
もう一つのNBMはNarrative-Based Medicine。
ナラティブとは、語り、物語、対話を示しますから、
NBMとは、物語や対話に基づく医療のことです。

私は薬剤師として長年患者さんと接してきましたが、
患者さんとの対話なくしては、自分の仕事は出来なかったと思っています。
そこに患者さんの語るさまざまな物語があって初めて
病気に至る背景が分かったり、どんなアドバイスが治療に必要かが見えてきます。

患者さんとの対話の多くは、当然ながら言葉によるのですが、
対話の中で得られる五感に基づく情報は、言葉に劣らず多くの背景を物語ります。

科学的根拠について説明されても、難しくて訳が分からないことが多いし、
実際、私が受診する際には、その説明よりも、
医師の「大丈夫」の言葉の方が心強かったりします。


医療の現場に携わる人々が、患者さんの心の声に耳を傾け、
患者さんの物語を尊重することで、
患者さんの安心感や満足度が上がるように感じて仕方ありません。

EBMとNBMのどちらが優れているとか、どちらが正しいとか、
そういうことを言いたいのではないのです。
(そもそも、それを言える立場にありません)
患者さんの気持ちを大切にして、
どうして欲しいと思っているのか、
その要望を満たすためにどんな方法があるのかないのか、
さらには、この先どんな困難が待ち受けているのか、
など、患者さんの心と正直に向き合う医療であって欲しいと願っています。
そして、私自身も、相手の物語を大切にしたいと願っています。


話が少し変わりますが、最近のビジネス書などでも
「物語」「ストーリー」をテーマにしたものを多く見かけますね。
心理療法にも、「ナラティブセラピー」(物語療法)というものがあります。

一人ひとりの物語を大切に、対話を大切にしたい。
価値観の多様化が言わますが、人々が求めているものは実は同じなのかもしれません。


今日もここを訪れてくれたあなたへ
感謝をこめて、
明日も新しい気付きがありますように。
by smile_garden | 2011-10-20 16:12
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