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2015年 09月 28日 ( 1 )

思いやりの気持ちを伝える「締めの言葉」

もうすぐ10月。コムラサキの実やヤブランの花の紫色が目を引きます。
風になびくススキの穂を見かけると、秋を感じて見入ってしまいます。
朝晩グッと涼しくなり、体調を崩す方もいらっしゃるようです。
服装で調節するなどの工夫をして、風邪をひかないように気を付けましょう。


先週末のこと、パソコンの調子が悪くなり、メーカーの相談窓口に電話をしました。
しばらく保留の音声案内が鳴り、電話がつながった途端に
「村尾様ですね」といきなり名前を呼ばれてビックリしました。

私、まだ何も名乗っていないのに名前が分かっちゃうんだ!
初めてのことに驚いて尋ねてみると、
私が登録した電話番号から電話をかけたために分かったとのこと。

相談窓口が閉まるギリギリの夜遅い時間でしたが、
丁寧に対応してもらってパソコンの不調は改善。
電話の最後に「また何かあれば電話してくださいね」と言ってもらって、ホッとしました。


医療機関でもこのひと言はとても効果的なので、研修でよくお話ししています。
「何か分からないことがあれば、いつでもお電話くださいね」
のひと言を付け加えるだけで、患者さんは安心感が増すのです。

例えば診察や検査、投薬等の終わりに
「わからないことはありませんか」「質問はございませんか」
と尋ねるだけで、患者さんは安心を感じます。

そのとき質問したいと思っていることがあれば質問しやすくなりますし、
たとえ質問がなくても、
「後で分からないことが出来たときに相談してもいいんだ」と感じていただけます。


聞きたいことがあっても、なかなか聞けないのが患者さん。
忙しいのに申し訳ない、と思って聞かない患者さんもいれば、
聞きたいことをうまく言葉に出来なくて、今日もまた聞けなかった、
という患者さんもいらしゃるでしょう。

こんなことを聞いたら恥ずかしい、と思い込んでいる患者さんもいるでしょうし、
聞いたって、どうせ何も変わらないから、と勝手に諦めている方もいるかもしれません。

患者さんが医療者に質問しない一番大きな理由は、
医師をはじめとする全ての医療者に「嫌われくない」という潜在的な思いでしょう。

「しつこいと思われたくない」
「質問して嫌がられてしまったら、ちゃんと診てもらえなくなるかもしれない」
というような不安につながる思いが無意識に働いているのです。


そんな患者さんに、医療者側から「何か分からないことはありませんか」と声をかける。
「分からないことがあれば、いつでも相談してくださいね」と言葉にして伝えることで
患者さんの質問に対するハードルがほんの少しでも低くなり、
質問しやすくなるように思います。

何より、患者さんのことを気に掛けている、という思いやりの気持ちを伝えることができます。
聞きたいけど聞けないという多くの患者さんへのおもてなしの言葉です。


研修でこの話をすると、
「そんなことを言ってるヒマはない」というご意見が出ることがあります。
「そんなことを言って実際に質問されたら、診察(検査等)の時間が長引いて大変」
とも。

でも、よく考えてみてください。
言葉をかけること自体は、ほんの数秒で済みます。
「お大事になさってください」とお見送りする前のほんの2,3秒のことです。

質問攻めに遭ったら大変、というご意見については、
私個人の経験ですが、そこから質問が長々と続いたことはほとんどありません。

また、実際に現場で実践してくださっている医師の先生方から、
「これらの声かけをしても、その場で質問をしてくる患者さんはほとんどいない」
「診察が滞ることは無く、むしろ患者さんとの関係が良好になった」
等の体験談もお聞きしています。


「分からないことはありませんか」のひと声は、患者さんへの心配りの一つの方法です。
患者さんに安心と安全を感じていただくためのお声がけでもあります。

思いやりのお声がけは、そのとき、その瞬間の「点」としてだけでなく、
先々まで続く「線」として患者さんの胸に残り、信頼関係を築くきっかけにもなるでしょう。

思いやりの気持ちを伝える締めの言葉。
思いがあれば、あとは実行するだけです。
お声がけの際には、笑顔を添えることもお忘れなく。


今日もここを訪れてくれたあなたへ
感謝を込めて、
新しい気付きがたくさんありますように。
by smile_garden | 2015-09-28 11:13 | 接遇マナー | Comments(0)